合同会社マーケティングデパートメント

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中小企業・スモールビジネスのマーケティングを強くする、ブランドの力。

工務店・住宅会社のマーケティング
2021.11.17
このブログを書いた人

ナガタ セイメイ

ブランド、ブランディング。かつてはブランドは大企業やビックビジネス、あるいは高級商品のもの、といったイメージが強かったものですが、現在は中小企業や小さなビジネスにもブランド、ブランディングの必要性が唱えられるようになりました。

また実際にブランドづくり、ブランディングにアンテナを張り、活動を強化する企業もたくさん出てきましたね。

これまでのキャリアのなかで40社以上のブランドづくり、ブランディングに関わってきましたがその8割以上が、中小企業やスモールビジネスでした。

そんな経験も含めて、中小企業・スモールビジネスのこれからのマーケティング活動に大きな貢献ができる「ブランド」について、その効果と取り組む意味について書いていきたいと思います。

そもそも、ブランド・ブランディングの定義とは?

ブランドとは

もとは牧場で家畜などを他の牧場のものと区別をするため焼印を施すなどの行為が語源と言われています。要するに「ほかと区別する」という行為がブランド、という言葉になっていったと言えます。

企業活動におけるブランドとは「他社との違い、他の商品との違いを明確にする」という行為が一番しっくりくる説明だと考えられます。

本来的な意味では、高級・金額が高い=ブランドということではなく、あくまで他との違いを明確にするということになります。

現代の企業活動においては、他社や他の商品との違いは付加価値として構成されて、ブランド化されていきますので結果的に商品・サービス価格に影響を与えるケースもありますが、ファストファッションなどに代表されるとおり、安いということも付加価値になりえるため、必ずしもブランドと価格設定がリンクするとは限りません。

ブランディングとは

ブランドによって他との違いを明確にしたら、それを認知してもらい想起してもらえるようにする、という行為がブランディング活動になります。

ブランドをつくっていくうえで、現代のブランドづくりにおいてはターゲットあるいは一番結びつきを強くしたいファンとどのような関係をつくっていくか?ということが重要視される傾向にあります。

そのため、例えばやみくもにTVCMで企業名を連呼したり、看板ジャックをしたり、あらゆるところで協賛をおこなったりといった量的な活動も、なぜそこに広告を出すのか?なぜそのイベントに協賛するのか?など、より対象となる市場や人を意識した活動が重要になってきています。

ブランドをつくる

価値観を言語化することから

0スタートでブランドをつくっていく場合は、そのブランドの価値観やストーリーをしっかり言語化しておくことが重要です。実際にブランディングの活動にうつるフェーズでは、外注の制作会社や広告会社なども考えるとかなり多くの人間がそのブランドに関わることになります。

そういった先の流れを考えると、ブランドのもつ価値観や背景などを言語化しブランドのストーリーとして残しておかなければ、一貫したブランディング活動を行うことができなくなっていきます。

またブランドを言語化していく中で、感情的・情緒的な部分だけを残して言語化するのではなく、今そのブランドが置かれている社会的背景や市場環境、もしあるのであればそれ以前の歴史編纂などもセットでまとめておきましょう。

名称やシンボルを整える

価値観とストーリーを言語化できたら、ネーミングを行ったり、スローガンをライティングする。またそれらをもとにロゴマークやキャラクターなどのシンボルデザインとして構成していきます。

多くの企業がここの領域はコピーライターや外注のデザイナーに任せるケースが多いと思います。そのためにも全段の言語化をしっかりしておき、自分たちが実現したいブランドの体系を崩すことがないよう、関係者に共有できるようにしなければいけません。

デザインルールも統一

ロゴマークまでつくればある程度のカラーリングやデザイントーンの方向性は見えてきます。ただロゴマークも様々な部署や担当が自由に使い出すと、知らない間にロゴのレギュレーションが変わってしまい、ブランドとして統一ができなくなってしまうケースがあります。

ロゴマークの取り扱い説明書や、フォトの使い方、色の使い方を含めたデザイントーンはできるだけマニュアル化してだれもが等しく利用できるようにしましょう。

ブランドとマーケティングの関係

では、実際にブランドをつくっていくこと、ブランディングをしていくことにはどのような効果があるでしょうか?企業がブランドをつくっていくには、時間的にも金銭的にも一定のコストが必要になってきます。企業がコストをかける、ということは投資的な意味合いが強くなりますので、当然ブランドをつくることにコストをかけたぶんだけの、リターンがないといけません。

ブランドをつくっていく、ということのリターンは様々なものが考えられますが、最も大きな効果は企業のマーケティング活動=売れる仕組みの一部として、多大な貢献があるということが言えます。

ブランドが整うことで、情報発信に軸ができる

ブランドをつくる作業の中で、社会的背景・市場の中でのポジションから自分たちの価値観とストーリーをまとめるという行為ができていれば、他社との違い、他の商品やサービスとの違いを明確にできた、ということになります。

このブランドをつくる=他との違いを明確にする、という最初のステップは、いわゆるマーケティングにおける、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)であったり、USP(ユニークセリングプロポジション)といった差別化戦略やランチェスター的な考えにかなり近いことを行っていることになります。

つまり、ブランドづくりの中で整理された価値観とストーリーを、世の中に認知させて、浸透させていくこと行為自体が、売れる仕組み(顧客となるターゲットが自社や商品・サービスを気に入ってくれる)ということに、大きく近くことになります。

現代のマーケティングは、WEBサイト、SNS、動画などコンテンツ勝負な要素が非常に大きくなっていっていますが、このブランド体系を派生させて、コンテンツ化していくことはめちゃくちゃやりやすいです。すなわちブランドをつくることが、情報発信が必要なマーケティング活動の軸となりえるということになります。

コンテンツ勝負の現代マーケティングにストーリー性が備わる

前段にも書いた通り、現代のマーケティング活動において、自社が発信するWEBサイト、SNS、動画などのコンテンツによる情報発信は非常に重要なポイントになってきています。

ただ、例えば住宅のマーケティングにおいて、仕様などのハード情報、また施工事例写真は押さえるべき必須情報でありながら、差別化にはつながりにくいといった課題が強くなってきています。

構造、設計、デザイン、素材など住宅を組み立てる要素のハード面はコモディティ化が進んでしまい、ネットで叩けば似たような情報がたくさんでてくる、というのは悲観的でありながら事実としては間違いなくあります。

そういった部分で、中小企業やスモールビジネスなど一定の商圏が定まっているマーケティング活動においては、人間性や価値観、ストーリー性への共感は大きなアドバンテージとなり、ハード面で差別化しにくくなってしまった部分に、プラスアルファを生み出してくれる要素となりました。

逆説的に言えば、今の小さなビジネスの勝ちどころはこのブランド(価値観とストーリー性)の領域で勝負しなければ勝ちどころがなかなか見えてこないということが、現代のマーケティング環境となっています。

情報発信とリアル体験の統一

ブランドは外向きだけの効果ではありません。ブランドをつくり、言語化されたものを従業員が共有していくことで、外向きに発信される情報を、実際にお客様に対面する従業員やそれを支えるバックスタッフにも大きな影響をもたらします。

営業マンが話すひとことに、バックスタッフがつくるツールひとつに、お客様のサポートに、あらゆる場面で言語化された価値観が影響を与えていくことで、企業が認知されてから、顧客体験にいたるまでに一貫した考えが反映され、信頼や信用につながっていきます。

これが、WEBサイトではクリエイターに任せたかっこいいコンテンツが発信されているけど、実際にショールームにいくと全然世界観が違う、あるいはスタッフの対応も期待外れ・・・となると企業活動において、大きな大きなマイナスポイントとなってしまいます。

ブランドで言語化されたものを共有することによって、WEBを中心とした情報発信とフィジカル的な顧客体験そのものにストーリー性を付加し、より評価される企業・商品・サービスをつくっていくこができるはずです。

売れる仕組みのひとつとして、ブランドづくりを。

ブランド・ブランディングとはなにか?そしてそれをつくることによるマーケティング視点でのメリットを説明しました。ブランドはつくること自体は目的ではなく、その先にどういった期待を寄せるかということが企業の投資活動としての判断軸になると思います。

インナーブランディングで組織の意思統一を図ることもブランディングですし、情報発信により自分たちらしさを付加していくこともブランディングの効果です。

ただ間違いなく言えることは、これからはWEB上でも、リアルなフィジカル的な顧客体験の場面でも、そのビジネスがもつ価値観や共感してほしいポイントが、きちんと言語化されて、それをもとに企画されたものが必要です。それがなければ、コンテンツ勝負の現代のマーケティングを成功させることは非常に難しいと言えます。

価値観、共感、ストーリーを意識した付加価値のある企業活動を考えるのであれば、是非一度ブランドづくりへの投資を考えてみてはいかがでしょうか。