そもそも、マーケティングとは?
マーケティングと名のつく書籍、サービス、ビジネス・・・たくさんありますよね。でも、そもそもマーケティングってなに?となると、明確に説明することは難しかったりします。マーケティング系の協会などでも多少定義が異なっていたり、書籍によっても多少言い方がことなっていたり。
そんな「マーケティング」の定義を改めて再確認して、マーケティング活動の質を確実に上げていければ、という内容で書いていきたいと思います。
マーケティングとは?
まずは、Wikipediaを参照。
マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。
Wikipedia
とのことです。
せっかくなのでこの文章を紐解いていくことで、少し理解を深められたらと思います。ほかにもドラッカーやコトラーやハーバードビジネスレビューなどを引用していくことも考えられますが、実際にはどこの定義も同じようなことを言っていて、あとはどういうか?という部分だけですので、もっとも手軽にたどり着きやすいWikipediaを活用したいと思います。
(Wikipediaの信憑性は賛否あると思いますが、こと今回の内容については問題ないと判断しました。)
マーケティングとプロモーションの違いと関係性
上記の引用の中に、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」というマーケティングという考え方のコアが記されています。
お恥ずかしいことに、私はマーケティングを学ぶまでプロモーションとマーケティングの違いがイマイチわかりませんでした。なぜかというと、〇〇マーケティングという様々なサービスが世に溢れていることが、私を混乱させていたからです。(もちろん私の知識不足で)
近年代表的なものは「WEBマーケティング」です。なにかをdisったりするつもりは一ミリもないのですが、WEBマーケティングとうたいながら、ただSEMやバナー広告をやる、という行為はうがった見方をすえれば、マーケティング活動の一部であり、そのものではない、ということを理解するのに時間がかかってしまいました。
どういうことか少し解説したいと思います。
マーケティングは宣伝活動のことではない
もちろん、WEBマーケティングという活動のなかで、SEMやバナー広告は必須であり、重要な活動のひとつですが、本質的には「広告」であり、マーケティング活動の一部であるということです。
マーケティングミックスのフレームワーク「4P」はもっとも有名なものの一つですが、そのPのひとつであるPromotion【プロモーション】。WEBでの広告はこの活動の要素が非常に大きく、やり方次第ではここのみになってしまう、ということです。
折込チラシや、看板、交通広告、もちろんTVCMやラジオ、雑誌あらゆる広告活動はマーケティングの一部ですが、マーケティング、と語るのであれば「顧客がその価値を効果的に得られるようにする=購買や意思決定につながっていく」ことにつながっていないといけない、ということになります。
つまり、WEBマーケティングであれなんであれ、効果測定があって、その効果測定に基づいて、顧客のための改善がなされていき、結果売り上げにつながっていかないと、マーケティングとは言えないということをしっかり解釈しておきたいポイントです。
マーケティングはプロモーションの上位概念。だけど重要な関係を持っている。
プロモーションとマーケティングの違いは、プロモーションは宣伝効果を主に狙うことが多く、一定の期間を決めて行われるものです。そしてそれがマーケティングに繋がるとしたら、その効果を「顧客がどう反応し、購買や意思決定に近づいたのか」、という文脈で分析され、次の広告の配信の仕方、配信の内容、場合によっては商品やサービスの改善に役立てられるか?ということが考えられる必要があります。
逆説的にいうと、計画的なプロモーションとその効果測定をきちんと行うことは、顧客の反応をいち早くキャッチするためには非常に有効であり、重要なこと。そしてプロモーションの反応から顧客のニーズを推測し、また活動の質を高めていくことでプロモーション自体がマーケティングにおける重要なパーツとなります。
マーケティングは継続的で、総合的な活動である
もう少し駄目押しで解説しておくと、プロモーションには予算や期間、条件によって一定の終わりがあります。ひとつの区切りをもって、そこから効果測定や次のプロモーションがなされていきます。
それに対しマーケティングは継続的でなければいけません。ひとつの商品に対してのマーケティングの場合は、もちろん販売打ち切り、ということはあるかもしれませんが、その打ち切りを持って、次なるニーズを探り新たな企業活動につなげていく、という観点でいえば終わりはありません。
そしてプロモーションははっきりと、広告・宣伝という役割がありますが、マーケティングはそのプロモーション自体が活動の一部であり、それらの効果測定、仮説設定、自社分析や商品・サービス改善などなど、あらゆる企業活動に派生していくものであり、総合的活動と言えることができます。
マーケティングの主体は「顧客」にある。
マーケティングを始めるための理想かつはじめのステップはこちらの記事に記載しています。
こちらの記事で書いたステップ3では、ターゲットをしっかり設定することに触れています。それはマーケティングは「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」(既出、Wikipedia)といったように、顧客というキーワードがなんども出現するともに、主体的な言葉として使われていることが重要なポイントであるからです。
さらにその続きの文章には、
顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセス
Wikipedia:マーケティング
またもや顧客、顧客価値という言葉が出てきました。
マーケティング活動をするのは企業です。しかし、活動の主体は顧客にあり、顧客が価値を認めてくれたかどうか?がマーケティング活動の評価になるのです。
顧客価値とは?
この、解説の中で出てくる、「顧客価値」とは一体なんでしょうか?Wikipediaが言っているのですからWikipediaに聞こうと思います。
顧客価値(こきゃくかち)とは、顧客が適正と認める価値を指す経営学用語の一つ。(w:Customer value)
これは経営されている企業において顧客に対して提供されている、製品やサービスや人材やイメージなどといった価値のことをいう。
Wikipedia:顧客価値
わかりやすくいうと、ええ商品だけ作ったからってそれだけあかんくて、その商品の買いやすさとか、信頼できる人が売ってるのかとか、これを買っても悪いことないのかとか、そういう総合的な部分での価値を顧客は見てまっせ、ということです。
なぜ顧客価値が大事なのか?
なぜ、そんなことを考えなければいけないのか。もちろん、そんな疑問を強く持って商売をされている方は少ないと思います。「お客様のために」ということはみなさん考えていらっしゃいます。
ただ、それを論で証明するとすれば、別エントリーで少しデータを出した、「WEBの普及」ということが上げられます。
この記事ではWEBの普及とSNSについて触れていますが、WEBの普及は一気に進み、以前までは4マスを中心としたプッシュ型の情報提供であったはずが、いつのまにかWEBには顧客となりえる一般の市民(自分たちも働けば企業側、普段は消費側)が自由に情報交換をする時代になったから、それにつきます。
昔は流行やマストを企業が先導することがしやすかったですが、今ではあらゆる方向から評価されるため、たとえばめっちゃくちゃいい商品をつくって順調に販売をしていても、配送が悪いとアマゾンの☆は減ってしまい、めっちゃくちゃうまいラーメンなのに、ちょっと出すのが遅くなっただけで☆は減ってしまい、社員が万●きなどした日にはツイッターで吊るし上げられてしまう時代になったからと言えます。
もちろん逆のいい面も然り。いいサービスをすればツイッターで美談として語られ、見栄えのいいご飯は人々が勝手に写真を拡散してくれて、話題の商品になればYoutubeの人々が勝手に買って、勝手に楽しくしてくれる。
よしわるしはあるにせよ、顧客の反応がわかやすくなったと同時に、いい「情報」があるのに飛びつかないわけわない消費者とともに経済活動を成功させようと考えれば、商品だけでない、サービスや人、イメージといった総合的な価値を高められなければ、受けれてもらえないということは当たり前のことだということになります。
顧客価値を高めて、売れる仕組みにする
マーケティングの定義として、顧客価値と共に書かれている、経営哲学、戦略、仕組み、プロセス。
マーケティングを身近なものにするということでは、「仕組み」という言葉が一番しっくりくるのかなとMD社では考えています。
顧客価値を、顧客を主体に高めていくことによって、(自然と)顧客が評価をし、買ってくれる。
こういった状態をつくっていく=完成すれば仕組みとなる。という風に考えます。
つまり顧客価値を高めるという活動自体が、売れる仕組みをつくる行為=マーケティング活動ということになるということです。
工務店・住宅会社こそ、マーケティングで勝てる。
顧客価値、という言葉で工務店・住宅会社を語る場合、それこそ勝つための努力はしやすいのではないでしょうか。
商品の価値
小さな工務店さんや住宅会社さんとお付き合いをさせていただくほど、「家」へのこだわりを深く感じることができます。本当にみなさん、思い思いにこだわって、家づくりをされています。
「うちはハウスメーカーにも負けないからね」「お客さんのためにほんまに必要なことだけをきちんとやってるからね」そんなお話を聞くたびに頭が下がる思い。
もちろん、ここに価値がなければ家を売っている(建てている)以上、どうしようもありません。高級路線であれ、ローコストであれ、いい商品をつくるということはまずもって重要なことです。
サービスの価値
良くも悪くも、柔軟な対応ということが、よくある小さな企業の強みのひとつです。メーカーのように、カタログですべてわかるようなコストはかけられないし、ひとつでもいい家を建てようと思えば思うほど、現実には柔軟な対応が必要になってくる。
最近ではプロセスを均一化して、一定の効率性を高めたいというお話も耳にしますが、それも含めた契約、打ち合わせ、アフターなどの付帯サービスの強化も求められているのかもしれません。
「いい家」と一口でいっても、性能の差別化には限界があったり、場合によっては競合他社に真似されたり・・・あるいはお客さんもたくさん調べて、商品にはめちゃくちゃ詳しくて・・・モノだけで差別化ができなかったり、検討ハードルにならないような配慮が必要になってきました。
人の価値
大きな組織に比べて、家づくりや事業に対する理念・考え方が浸透しやすいのも小さな会社の強みの一つかもしれません。メーカーを批判する意味ではなく、工務店の仕事に魅力を感じるひとつの理由としても、業務の範囲がいい意味で広く、施主との距離が近いことが魅力だということも耳にします。
サービスと密接に関わったり、場合によっては「この人の家づくり」という商品そのものだったりもしますが、大規模なプロダクトや規模の経済で差別化を図れない工務店・住宅会社にとっては、人材というのは重要な経営資産であるはずです。
イメージの価値
認知、実績の繰り返しによって企業のイメージは形成されていきます。永く地元で根付いていたり、新しく参入したり、と企業によって様々な状況はあります。
しかし、人と同じように、第一印象であったりもとあるイメージというはとても重要な要素です。現在、工務店・住宅会社でも語られることが多くなったブランディングもこの要素を多分に支えるものの一つとなりました。
すべて、一番繋がりたい顧客を主体に見直してみる
顧客価値にそって、4つの価値について解説いたしました。どれも、どの工務店・住宅会社様が大切にしていること、考えていることばかりではないでしょうか?
しかし、これら要素を「顧客を主体に」もう一度見直してみる、これがマーケティング活動を加速させるための重要なポイントになります。自分たちのプロ目線、企業目線だけでなく
この商品は、自分たちの顧客にとってどういいものなのか?
このサービスは、自分たちの顧客にとってなにがいいのか?
この会社で働く人々は、自分たちの顧客にとってどんな存在であるべきなのか?
この会社イメージは、自分たちの顧客にとってどのようなものなのか?
こんな問いをもとに、それぞれを改善することができれば、マーケティング活動の質としては高いものではないかと考えます。
マーケティングとは、まとめ。
今回はWikipediaの力をお借りしましたが、わかりやすい答えとして、顧客を主体に自社の活動を見直し、商品・サービス・人・イメージ、それらを発信するプロモーションの効果と改善を繰り返し、売れる仕組みに変えていく、ということがマーケティング活動であると、結論づけたいと思います。