マーケティングデパートメントは、現在私を含めて2.5人しかいない会社です。しかし一人で設立した当初からこのようなブログ形式の情報発信であったり、商品やサービスの紹介をするページを制作し自社サイトで公開しつづけるということをやってきています。
設立して丸2年。2020年の4月に事業スタートし、12月決算なのですでに3期目の第一四半期を終えるタイミングとなりましたが、小さな会社ながらにこういった情報公開をし続けることの意味と効果を感じることがあるので、今日はそれについて書いていきたいと思います。
※流行のSNSには手をつけていません。それについては後ほど少し言及いたします。
実際に行っている情報発信とその実態
まずは弊社が(私が)どのような情報発信を行なっているか、その方法と実態、考え方について説明したいと思います。
情報発信の基本は自社サイトの記事コンテンツ
今私が取り組んでいる情報発信のプラットフォームは
・このWebサイトの記事コンテンツ
・Twitterの個人アカウント
・Instagramの仕事用個人アカウント
の3つです。しかし、下ふたつは特に戦略性もなく、好きなように、好きなときに更新しているだけ、という状況で、メインの情報発信はこのWebサイトの記事コンテンツだけになります。
では、どのような考え方で情報発信をしているのか?をお話ししたいと思います。
継続発信のために記事のタイトルをたくさんストック
継続的に情報発信をしたい。でもいわゆる3日坊主で終わりがち、とならないためにまずは「記事のタイトル」をたくさんストックするようにしています。マーケティング・ディレクションに関連する基礎知識、トレンド情報、よくお客様に聞かれることをどんどんタイトル化してストックしています。
私のTodoリストのひとつのグループが、タイトルストックになっていて、外出先や商談後、本を読んでいるときなど「お、これは記事にできるかも」というものは、スマホですぐにタイトルを打ち込んでストックしています。
その後、記事を書こうというときに見返してみて、これは書けそうというものから書くようにしています。
「これは書けそう」という感覚も大切にしていて、記事の内容がイメージしにくいものや裏付けデータなどの取得で手間がかかりそう、という場合はまずはパスして、すぐに書けるということを優先するケースもかなりあります。
SEOは少し気にかける程度でまずは書きたいように書いている
テーマも大切ですが、記事コンテンツとなると「SEO」は気になるポイントではないでしょうか。私も最低限のSEOの知識は持ち合わせているつもりですが、あまりこだわりすぎないようにしています。もちろん、検索流入は取りたいのが本音ですし、取れるに越したことはありません。しかし、
- 気にしすぎると、記事の内容が普遍的になる
- 気にしすぎると、書くのに(精査するのに)時間がかかる
- 気にしすぎると、伝えたいことが限定される
この3つによって、自分自身が記事コンテンツを更新する楽しみや、個性が失われてしまうことを嫌っています。ですので、見出しであったり、言葉の使い方に多少配慮はしますが、SEOで検索上位ということを目標に書くようなことはせず、素直に書きたいことを書いてみる、ということに取り組んでいます。
素直に伝えたいこと、考えることを発信するほうがメリットを感じる
記事コンテンツを発信する狙いをマーケティング的に捉えると、流入をとって接点をつくっていく、という場合と自社や商品についてあるいはノウハウについての理解を深めてもらう、という場合に大きく分けることができます。これはどちらかしかできない、ということではなく狙いとしてどちらに軸を置くか、ということです。
現在のSEOは順位をあげることも難しくなっており、また競争も激しい。そしてあげようとすると比較的普遍的で汎用性の高い内容にしなければいけないという傾向があります。
そのため、弊社では主軸は後者、自社やノウハウに対する理解を深めてもらう、自分たちの考えを知ってもらうということに主眼を置いており、またそれらに対するメリットを大きく感じています。
情報発信をすることによって得られたメリット
上記のような方針で情報発信をしてきたなかで、決して量的に多いとは言えませんが、以下のようなメリットを感じています。
記事コンテンツからのアクセスが40%くらいで取れている
アナリティクスとサーチコンソールで分析した結果、社名以外での流入が増えてきました。前段で「SEOはそんなに狙ってない」と書いていますが、意外と記事コンテンツからの検索流入が取れています。よく質問される記事、スタッフへの共有のつもりで書いた記事、お客様でよく課題になるテーマ、このあたりが意外とのびました。大量!というわけではありませんが、やはり「リアル」で起きるマニアックな課題やよくある課題というのは検索ボリュームが根強くあるのだろうなということが見て取れます。
ご紹介いただいたときに、信頼感が高まる
現在、弊社の売り上げの100%が紹介からの受注です。
実はまだウェブサイトからの流入から、問合せを獲得して、受注に至ったということがありません。記事を書いているだけでSEO対策(最低限)もせず、広告もほぼ行なっていませんし、フォーム改善などのいわゆる運用をすっ飛ばしていますので、当然の結果です。
しかし、記事をしっかり書いていると、ご紹介をいただき社名で検索をして弊社サイトをご覧いただけていると「しっかりやられてますね」という好印象を与えることができている実感があります。
会社が小さくても、考えをしっかり持ち、それらをできるだけ継続的に発信することで、自社への理解や印象を上げて、受注率を高める、ということに貢献してくれています。
採用時にマッチング度が明らかに高まる
一番メリットを感じているのがこのポイントで、記事を書こうと思ったきっかけでもあります。
創業して3年目、現在は私をのぞいて2名のスタッフ+2022年5月からもう1名増員しますが、1名は知人関係から、2名は募集からですが、実は採用にかかった金銭的コストは5万円だけです。
募集から採用した2名は、「アルバイト募集」の採用情報を見て、そこから弊社サイトを見て、弊社や私への評価を高めてレギュラースタッフ登用をしたという経緯があります。
きっかけは、ライトな入り口ではありましたが、コンタクトを取り、実際に会って話すとビジョンの共有や考え方についてのすり合わせもスムーズであり、またどのような姿勢で仕事に取り組んでいきたいか、といった話も非常にしっくりする会話ができたのでした。
他にも面接をした方はたくさんいますが、多くの方が「記事を読んで一緒に働きたくなった」と言ってくれたという事実があり、売り上げだけでなく組織づくりにも記事コンテンツというのは大きく貢献してくれるものだと体感しました。
小さな会社・中小企業が情報発信をはじめる
継続的な情報発信を企業活動でやっていこうとなると、どんな内容にするか?だれがやるか?そして人的・時間的コストなど様々な検討が必要になり、検討しているうちに息切れして頓挫してしまう。ということがよくあるのではないでしょうか?
コンテンツ発信については、弊社そのものの発信だけでなく、マーケティング支援をしているクライアント企業様からも相談を受けますし、提案もしています。その中でいつもアドバイスとしてお伝えすることは以下のとおりです。
得意なプラットフォームでまずは好きなように、継続性が大事
6年前ほどに10名ほどの住宅設計・工務を行う会社のWebサイトリニューアルを行った際に、「ブログが全然続かない」「続かないならやめたほうがいいのか」という相談をいただきました。
その際にご提案したのが、まだそれほどキャズムを超えていないInstagramの提案でした。
「現場に行った時に、スマホでインスタのアプリで写真を撮るだけで構いません。文章はひとことでもOKです。それをウェブサイトのトップページにAPIで引き込んで更新がわかりやすくしていきましょう。」
という提案をしました。実際、更新ハードルが低くなり、ウェブサイトの写真も毎日更新されるためスタッフのモチベーションがあがり、結果的にブログの更新頻度も増えていったということがありました。
それぞれ文章を書く、つぶやく、写真を撮る・・・さらに分類していくと情報発信の方法に得意不得意が必ずあります。おすすめするのは細かいことより発信が楽しめる方法を取る、というのがベストです。
「代行」は基本的にやめたほうがいい
プロのカメラマンを入れて撮影をし、お客様などの取材記事をつくる。といった専門性の高いものを除きあたかもスタッフが投稿しているな雰囲気で投稿する代行運用はおすすめしません。
- 自社内で情報発信にするノウハウと経験値が溜まらない
- 定型化された代行をしても、自社の差別化にはつながらない
- 代行をしてまでメリットが出るほどすでにSNSはフロンティアがない
ざっくりいうと上記3つがおすすめしない理由としてお伝えしていることです。そういったサービスを否定することになってしまいますが、代行をはじめて大成功している「小さな会社」を見たことがありません。
SNSを積極的に行わない理由
まずはやりやすいものからとっかかる、というのが原理原則としてお伝えしたいことですが、その中で弊社(私)がブログを選び、SNSを積極的にやらないのかを書いておきたいと思います。どんな媒体に取り組むかの参考になれば幸いです。
Instagramは「映える」仕事でもないから
マーケティングって地味なんですよね。笑
写真映えする仕事はあまりなく、撮影現場などは比較的映えますが、その仕事ばかりをアップしていると、撮影をする会社のように見られますし、本来見られたいブランドには寄与しません。
あと、よくある文字のスライドでノウハウを発信する系もああいった見せ方が、得意でもなく好きでもないので敬遠しています。
Twitterは顧客になりえる人が利用者には少ないと感じるから
中小企業や小さな会社の「決定権のあるひと」はTwitterにはあまりいないと感じます。もちろん中小企業の方でマーケティング周り・経営周りのお仕事をされている方のアカウントはたくさんあるのですが、そういった方はぶっちゃけ弊社にお金を払ってディレクションを依頼する、ということが必要のない方々ばかりです。
代表的な二つのSNS以外にも、自社サイトの充実以外の発信が今は必要ない
会社の状況として現在の主な集客は紹介です。一部広告も行っていますが、そういった背景からSNSで頑張って不透明なフォロワーを増やす時間を使うよりも、数が少なくても自社に興味や閲覧の必要がある方にどれだけ良い情報発信ができるか、弊社はそういったフェーズと解釈しています。
流行っているからなんでもやる、というのはすごく大切な感性なのですが、小さな会社にとっては、人的・時間的・金銭的コストが限られていますので、最終的には選択と集中をすることは重要ではないかと思います。